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十字架の見えるテラスから(58)

 8月を迎えました。暑い日々、雨の多い日々が続くと思います。8月の暑い時に、もっともっと熱い風をあびた原爆を思い起こす時でもあります。私たちと変わりのない日常があった人たちの命が一瞬にして奪われる。戦争は一度始まってしまえば、なかなか終わることができないことを私たちは知っています。一度始まってしまえば、誰の命も安全ではなくなります。その恐ろしさ、愚かさを知っていても、私たちの社会は繰り返し戦争を行なってきました。それは戦争を体験し、本当に悲しく苦しい思いを抱えてきた方々をもう一度同じ苦しみに合わせるということです。

 イエス様の一番弟子であったペトロの伝説があります。ローマで激しいクリスチャンへの迫害が行われていた時、ペトロは密かにローマから別の場所へと行こうとしていました。するとその道にイエス様が向こうから歩いて来られました。ペトロが「主よどこへ行かれるのですか。」と聞くとイエス様はこう言われました。「あなたが逃げだすので、私はもう一度十字架にかかりに行くのだ。」それを聞いてペトロはローマへと戻り、捕まえられ、イエス様と同じ十字架では申し訳ないと逆さの十字架にかけられたそうです。

 この話を思い出すたびにとても苦しい思いがします。イエス様のように、大きな苦しみを抱えた戦争経験者たちをもう一度同じ思いにさせてはいけません。私たちははっきりと平和を守り、平和を作り出す者となることを言い表したいと思います。

「あなたがたがわたしによって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に勝っている。」(ヨハネによる福音書16章33節)