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十字架の見えるテラスから(102)

※4月16日 説教要旨 「完全な、お一人の方」

詩編110:4   ヘブライ人への手紙7:1~19 

 

1)知恵を求める

 R.ニーバーの「神よ、変えることのできないものを受け入れる力を与えてください。変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください」との有名な祈りがあります。この祈りは、分別する知恵を求めています。列王記上3章(p.531)で、ソロモンは何でも願うが良い、という神さまからのお申し出に対して、富や権力や長寿ではなく聞き分けることのできる心=知恵を求めました。変えるべきものと変わらざるものとを知ることができれば、生きることはずっと楽になるでしょう。私たちはしばしば、変えれないものを変えようとして苦しみ、変えてはならないことを変えてしまって後悔します。私たちには正しい「知恵」が必要です。

 

2)永遠かつ完全な祭司

 ヘブライ人への手紙は、この世界が移りゆくものであり、永遠はただみ子イエス・キリストのみであることを明らかにしてきました(1:11)。キリストは変わらない方であり、永遠であり、また完成です。

 キリストの特別さを、かつてのレビによる祭司制度を例にして手紙は語っています。レビによる祭司制度は、モーセに遡る長い歴を持っていました。しかし、それは不完全でした。キリストという完全な祭司が、ついに来られた時、レビの祭司制度は役割を終え、変わっていくことを求められます。キリストに道を譲ります。それは敗北でなく知恵です。

 キリストはアロンによる祭司の継承でなくメルキゼデクを継承します。それは父も母もない、系図もない(7:3)、不思議な人物です。バークレーはここに、神の選びの恵みを見ています。レビの祭司制度は、系図や血すじを重んじます。しかしイエス・キリストは血すじも家柄も全く関係なく、私たちを救ってくださるのです。