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十字架の見えるテラスから(159)

1月12日 説教要旨「行って同じようにしなさい」

ルカによる福音書10:25~37

 イエス様が話された「サマリア人のたとえ」は幼い頃から何度も聞いてきました。今年の夏期聖書キャンプでは、サマリア人のたとえを子どもたちと一緒に学びました。旅に出たサマリア人が強盗に襲われて人があまり通らない場所で身動きが取れないくらいにひどい怪我を負いました。そこに通りかかった最初の人は、立派な服を着た祭司でした。この人なら助けてくれると思ったのに、怪我人の遠くの方を通って行ってしまいました。次の人も立派な身なりの人でした。この人なたら助けてくれると思いましたが、その人も遠くの方を通って行ってしまいました。もうこのまま死んでしまうのではないかと諦めかけた時に、三人目の人がやってきて怪我人を抱き上げ、傷に葡萄酒を注ぎ、油を塗ってくれました。子ども達はこの話を聞く時、怪我人が助かったことを知って安堵するでしょう。

 しかし、この話はここで終わりではありません。助けてくれた三人目の人は、サマリア人でした。イスラエル人は、サマリア人とは話さないようにしていました。恐らく小さい頃からサマリア人とは付き合わないようにと言われてきたのだと思います。怪我をして倒れていた人はイスラエル人でした。怪我をして倒れていたこの人を助けてくれたのは、いつも差別していたサマリア人だったのです。サマリア人が怪我人を助けた時、彼はいつも自分たちを差別しているイスラエル人を助けるかどうか迷うことはありませんでした。ただ、彼が苦しんでいるのを見て、その時できる最善を尽くしました。

 イエス様は「行ってあなたも同じようにしなさい。」と言われました。英語では「go and do」と訳されます。このシンプルなことを自分ができていないことに気が付かされます。私たちに与えられている全てのもの。よく考える頭もよく動く手も足も誰かの隣人となるために与えられているのではないでしょうか。イエス様は、2本の手と足を十字架に釘打たれて、私たちのために命をささげてくださいました。私たちの隣人となってくださった方に倣っていきたいと思います。