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十字架の見えるテラスから(169)

12月17日 説教要旨 「歌うことの力」

士師記5:6~13 ルカによる福音書 1:39~56 

 

信仰の歌

 アドベントの期間、ルカによる福音書から恵みを受けております。ルカによる福音書では、他の福音書とは違い、主イエスの誕生物語で、たくさんの歌が描かれます。本日読んだマリアの讃歌や、ザカリアの讃歌(1:68~)など、いずれも美しい信仰の歌が歌われます。これらは、神さまがいかに小さな者に目を留めてくださるか、ということを高らかに歌い上げる、まさに信仰の歌です。

 マリアは48節で自らを卑下します。しかし彼女は喜んでそのように歌うのです。決して無理をしているわけでもないし、悲しむのでもありません。彼女は、神さまの前に自分の小ささ、弱さを包み隠さず歌います。これが賛美の力です。

 

途方もない愛

 49節に「偉大」という言葉が出てきますが、これはメガという言葉で、途方もなく大きなさまを表します。神さまの愛は、とてつもなく大きなものだから、喜んでその愛のなかに自分自身を委ねるのだと歌っています。その時自分の小ささは、恥ではなくなります。むしろ、小さな自分を肯定し、愛するようになります。

 

わたしたちの自己理解

 48節でマリアは、自らを「幸いな者」と呼びます。これが、キリスト者の自己理解です。わたしたちは、幸せなのです。自分はなんて幸せなんだろうと、そのように心から神さまに感謝し、自分自身を委ね、肯定することできます。

 わたしたちは、そのように自らをいつも心に留めたいものです。とかく不平や不満が口をつきそうになる時にも、ぐっとこらえ、神さまの恵みに気がつくものでありたいと願います。