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十字架の見えるテラスから(171)

12月24日 礼拝説教要旨 「神はあなたを照らされる」 詩編103:6~13 ルカによる福音書 2:1~14

ルカ福音書の降誕物語 英語圏の代表的な説教者クラドックは、主イエスの誕生を洗礼者ヨ ハネと比較し「すべてが何と簡素で飾り気がないことであろうか」と 記します。ヨハネの誕生では、多くの縁者が集まり、ザカリアの口が 開かれるという奇跡がおこり、賛美が歌われます。集まった人々は、 驚きと喜びに満たされました。ザカリア夫妻は代々祭司の家系で、多 くの祭司が集まっていました。待ち望んでいた子どもの誕生に、皆が 喜んだと思います。これに対し、主イエスの誕生は、馬小屋でひっそ りとなされました。マリアとヨセフ、動物たちが、救い主の誕生の瞬 間に居あわせたのでした。 マタイ福音書は、主イエスの誕生に博士たちが、高価な贈り物を携 えてやってきたと伝えます。ページェントでもクライマックスは、立 派な服をきた博士たちが、贈り物を高くかかげます。クラドックは 「ルカは地上の低く貧しく最下層にあるものから物語を遠ざけてしま うようなどんな粉飾もせずに、この物語を清く保とうとしている」と 記し、ルカの誕生物語がいかにシンプルであるかと教えてくれます。 

翻弄される人々 今年は、大きな力の前に翻弄される人々を、報道でよく目にしまし た。為政者の決定によって、不毛な戦争が始まり、避難をよぎなくさ れた人々を見て、かつて皇帝の命により、身重のマリアをつれて旅を したヨセフの苦悩を思いました。ルカは、小さな市民である夫婦が、 救い主の誕生にかかわったと描きます。神さまが目を留められたの は、為政者や王侯貴族ではなく、むしろ小さな人々でした。 例として、ルカは羊飼いを描きます。羊飼いは、キリストの誕生を 祝う最初の証人として登場します。彼らは、夜通し野原で働き、羊の 群れを見守っていました。彼らも神さまが選んだ小さな存在でした。